正しいダイエットとは、筋肉を減らさずに体脂肪を減らしていくことです。どうせ筋トレダイエットにチャレンジするのであれば、「痩せながら筋肉をつけたい!」と、誰もが考えますよね?

しかし、除脂肪と筋肥大は相反することですので、そう簡単にはいきません。

痩せる仕組みと、筋肉がつく仕組みについて

ダイエットをしながら筋肉を増やせるのか?

痩せる仕組みとは?

痩せるためには、消費カロリーと摂取カロリーのバランスがマイナスになる必要があります。ダイエットとは、エネルギー収支のバランスが全てです。

糖質制限や脂質制限など、様々なダイエット方法(食事管理方法)がありますが、「痩せるためにはエネルギーのマイナスを作り出す必要がある」ことに変わりはありません。糖質制限ダイエットであったとしても、「食べ過ぎれば太る」のです。

体脂肪は約7kcal/g(純粋な脂肪は約9kcal/g)のエネルギーをもっていますが、このエネルギーが消滅すること、すなわち「脂肪が消滅する」ことはありえません。

引用元:石井直方「トレーニングをする前に読む本」P215より

体脂肪が減少する仕組みは、「体脂肪が分解され、血中に放出される」→「血中に放出された遊離脂肪酸がエネルギーとして燃焼される」という流れです。脂肪が消滅することはありませんし、遊離脂肪酸が尿として排泄されることもありません。

筋肉が増える仕組みとは?

筋肉を増やすためには、消費カロリーと摂取カロリーのバランスがプラスになる必要があります。余剰エネルギーがなければ、筋肉が成長することはありません。

筋肉は、筋繊維と呼ばれる細胞の束によって構成されています。さらに、筋繊維の中には筋原繊維と呼ばれるタンパク質によって構成されており、筋原繊維が筋サテライト細胞によって補修されることで筋肉が太くなっていきます。

しかし、筋サテライト細胞によって筋肉が大きくなるためには「余剰エネルギー」が必要であり、ダイエットなどによってエネルギーが不足している状態ではスムーズな筋肥大が起こりません。

ワークアウトラボ

【補足】「太らなければ筋肉がつかない」というのは、嘘です。筋肉を増やす過程で脂肪が増えてしまうことはありますが、脂肪が筋肉に変わるわけではありません。必ずしも「太らなければいけない」という訳ではないのです。

痩せることと筋肉を増やすことは、仕組みが違う

痩せることと筋肉を増やすことは、両立できません。

  • 脂肪を減らすためには、エネルギー収支をマイナスにする。
  • 筋肉を増やすためには、エネルギー収支をプラスにする。

細胞は、常に分解と合成を繰り返しています。

分解が優勢になれば(脂肪や筋肉が)減りますし、合成が優勢になれば(脂肪や筋肉が)増えていきます。エネルギーが不足している状態で筋肉だけが増えるということは、あり得ないのです。

わかりやすく言うと、飢餓状態の時に筋肉を大きくする余裕は体にはない。それなら脳や心臓や肺を動かすことを優先します。そんな状態でトレーニングをしても筋肉は太くなりません。

引用元:石井直方「筋肉まるわかり大事典」P330より

「痩せながら筋肉を増やす」というアプローチではなく、「脂肪の増加を最小限に、筋肉を増やす」「筋肉の減少を最小限に、体脂肪を減らす」というアプローチをすることが現実的です。

筋肉が少なくて脂肪が多い人は、両立が可能であることがある

例外的な話ではありますが、筋肉が少なくて脂肪が多い人の場合、痩せながら筋肉を増やすことができます。

これは、「脂肪が多い=エネルギーの余剰がある」ということが関係しており、筋トレをしながら摂取カロリーを少し抑えることによって「脂肪のエネルギーが、筋肉を合成するエネルギーとして使用される」ためです。

いずれにせよ、筋肉を減らさずにダイエットをするためには筋力トレーニングが必要不可欠です。はじめから「痩せながら筋肉を増やそう」とするのではなく、「増えたらラッキー」くらいの気持ちで取り組んだ方が良いかと思います。

筋肥大と除脂肪、どちらを優先するべきか?

体脂肪を減らすことと筋肉を増やすことでの、順番による効果の違い。

セオリーとしては、ダイエットを優先するべき

ボディメイク(肉体改造)のセオリーとしては、体脂肪を減らすことが優先されます。これは、筋肉を増やすよりも体脂肪を減らすことの方が簡単であるためです。

まずは、「痩せることができる」ということを体験してください。
小さな成功体験は、モチベーションにもつながります。

筋トレによって理想のスタイルを作り出すためには、程度の差はあるものの、増量と減量を繰り返していくことになります。「筋肉を減らさずに体脂肪を減らす」ためのテクニックを学ばなければ、理想としているスタイルにはなれません。

筋肉を増やすことを優先させることにもメリットはある

筋肉を増やすことを優先させることで、ダイエットがスムーズに進みやすくなります。

ダイエットを優先するのか? 筋肥大を優先するのか? という問題は、個人の気持ちやボディメイクプランによるところが大きくなるため「どちらかを優先的にやらなければいけない」ということではありません。

  • 除脂肪を優先:体の変化を実感しやすい。
  • 筋肥大を優先:食事制限をキツくしなくても痩せやすい。

どちらにもメリットとデメリットがあります。
肉体改造の期間などを考慮し、納得のいく選択をしてください。

「除脂肪→筋肥大」の順番は、筋肉を増やしやすい?

人間の体は、「新しい刺激(変化)」に対して大きな反応を示します。

トレーニングの停滞期を防ぐ為には、数カ月ごとにトレーニングメニューを変化させることがポイントです。同じトレーニングを続けていくと、刺激に慣れてしまうことで「刺激に対しての反応が鈍くなる」ためです。

大切なのは、つねに変化を持たせること。変化自体に意味があるのだということを理解することです。

引用元:石井直方「トレーニングのヒント」P162より

これは、除脂肪や筋肥大の期間にも言えることです。

長期間の減量は次第に痩せにくくなっていきますし、長期間の増量も筋肉が増えにくくなっていきます。春頃から夏にかけては減量、秋頃から冬にかけては増量など、メリハリのある肉体改造計画がポイントになります。

【まとめ】痩せながら筋肉をつけるのは、現実的ではない

肥満体型以外の場合、体脂肪を減らしながら筋肉をつけることはできません。机上の計算では「不可能ではない」とされていますが、とても効率の悪い方法ですので、おすすめはしません。

  • 体脂肪を減らす為には、アンダーカロリーである必要がある。
  • 筋肉を増やすためには、オーバーカロリーである必要がある。
  • 基本的には、筋肥大よりも除脂肪を優先させること。

体脂肪が多いのであれば、まずはダイエットです。筋肉を増やすつもりで行う筋力トレーニングと無理のない食事管理によって、「自分で体を変えられる」という成功体験を経験することがポイントになります。